1971年、北アイルランドの街・ベルファスト。プロテスタント系住民とカトリック系住民の紛争が激化しているこの地に、英国軍の若き新米兵士ゲイリーが着任する。地元警察の補佐として配置された小隊のメンバーで、警察の捜査活動をサポートするだけの簡単な任務のはずだった。ところが想像以上に緊張状態だった街は、あっという間に暴動状態に。経験もなく事態の深刻さを把握できていなかったゲイリーは、少年に武器を奪われ、仲間を殺され、気づくとただひとりこの地に残されていた。この地からの脱出を試みる、ゲイリーの孤独な一夜の闘いが始まる--。
リアルな緊迫感が全編を支配する、スリリングなドラマだ。特に強い思想も持たず、兵士としての経験もまだ浅いゲイリーを主人公に据えたことで、彼の恐怖、戸惑い、迷いがストレートにこちらにも伝わってくる。大仕掛けなアクションなどはないが、そのぶん観客もゲイリーの脱出劇を〈鑑賞〉するというより〈体感〉することになる。この緊張感こそがこの映画最大の持ち味である。
ゲイリーを演じる俳優ジャック・オコンネルがとても良い。無邪気な可愛らしさと凶暴な男性性を併せ持ち、現在世界中で人気急上昇中の英国人俳優だ。プラダの広告塔に選ばれたりと、今後どんどん活躍の場を広げていくこと間違いなし！本作に続き、元町映画館で10/17(土)から公開する『名もなき塀の中の王』にも主演している。ぜひ注目してほしい。

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