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元町映画館☆特集

シーモアさんと、大人のための人生入門

ピアノ教師シーモア・バーンスタインが伝える人生の過ごし方

シーモアさんと、大人のための人生入門

シーモア・バーンスタインとは89歳のピアノ教師である。ピアニストを引退した今でも彼に影響を受けた人は多く、彼の指導を受けたい生徒は後を絶たない。
売れっ子講師だ。
監督はハリウッド俳優イーサン・ホーク。『6歳のボクが、大人になるまで。』や『ビフォア・ミッドナイト』などをこなすこちらも売れっ子俳優だ。

本作は「イーサンがなぜシーモアさんを中心にした映画を撮ることになったか」で始まる。パリッとしたスーツ、ポケットに手を入れてきっかけを話す。場所は小さいライブハウス、後ろでシーモアさんが笑みを浮かべる。
観客もイーサンの冗談に笑みを浮かべる。
映画の雰囲気を象徴するようなシーンだ。映画はそんな雰囲気で80分過ぎていく。

退屈というわけではない。心地よいのだ。

私はピアノを弾けないので、音楽のことは分からないのだがシーモアさんのピアノレッスンには音楽だけでなく人生のイロハが詰まっているように思える。なぜ説得力があるのか、感じるのか。それは知識の量と音楽の知識とその場の空気を感じとる力ではないか。レッスンの生徒を見て何が足りていないか、鍵盤の叩き方で相手の性格を感じとる。すごいの一言だ。

劇中に出てくるクラシックの名曲の数々がその言葉を私たちの耳に届けてくる。
特に「ピアノ・ソナタ第32番Op.111」(ベートーヴェン)、「子守唄」(フレデリック・ショパン)の曲がかかるとなぜだか泣けてくる。もちろん、悲しくて泣けてくるのではない。海でプカプカと浮いているような。お腹に胎児がいる場合はクラシックをかけると良いというが、映画館も言ってしまえばそんな場所なのかと。
暗闇の中で目の前に広がる光をピアノの音を聞きながら眺める。映画館でしか味わえない経験をまた見つけた。

彼のことを褒めちぎっているが、本作の中では彼の弱さも見えてくる。それを知ると今までの彼の言葉も納得する。彼もやっぱり一人の人間だった。

ピアノに疎い私でもすっと入ってくる彼の言葉。音楽の話は入ってこなかった。
ピアノ習っておけばよかった。

シーモアさんと、大人のための人生入門
10/22(土)~10/28(金)
12:20~
10/29(土)~11/4(金)
14:10~
11/5(土)~11/11(金)
18:20~~