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元町映画館☆特集

こんな青春じゃ終われない『さよなら、退屈なレオニー』

彼女を中心にカナダの町や人、そして17歳という人生の中で最も背のびできる年齢の面白さを教えてくれる本作

カナダの小さな街に住む17歳の少女レオニー。彼女を中心にカナダの町や人、そして17歳という人生の中で最も背のびできる年齢の面白さを教えてくれる本作。

こんなお話
ケベックで暮らす17歳のレオニー。高校卒業を1ヶ月前に控えて彼女は常に無気力状態。家に帰っては家族と口喧嘩。学校に行っても常にどこか上の空。野球場のアルバイトはテキトーにして、いつもダラダラ、そんな様子。そんな彼女は偶然、ギターを習うことになり…。

私、こういう映画大好きなんです。目的もなく、ただ時間がすぎるなかで何か一つ良いことがある…そんな感じの映画。ロードムービーのような途方も無い感じではなく、学生生活という限られた中でどう生きるか…そんな映画が。ヒロインのレオニーを演じるカレル・トレンブレイ。この女の子の気だるさって言ったならない。まさに退屈なレオニーのタイトルにぴったり。「感情はどこへ行った?」と言いたくなるように歩く。そんな彼女から見えるケベックの小さな街はなにもかもが苦痛で、唯一の家族ともうまくいっていない。自分の苛立ちをぶつけているように見える。そんな彼女が出会ったのはギターを教えて生計を立てる年上のミュージシャン。そしてギターを教えてもらう彼女。彼女としてはやっとの想いから出会えたお兄さん、父親だったのだろう。ギターを上手く弾くことよりも男性の家族と話す…そんな感じにも思えた。自分で居場所を作れる人もいれば、そうで無い人もいる。少なくともレオニーは誰かに引っ張ってもらいたかった。この退屈な街から救って欲しかったんだろう。

現代は「蛍はいなくなった」。蛍も本作のキーアイテム。私がもっとも好きなシーンがある。野球場でレオニーが仕事をする球場でキャッチボールをしながら遊んでいる。球場の照明と蛍の関係性。動く人とボールに動かない照明、そして消えていった蛍。生きている/動いているもの全てが有意義な時間を過ごしている訳じゃなく、動かない照明のように自分のすべきことを淡々とこなす。照明には照明の役目。レオニーにはレオニーの仕事がある。照明があったから蛍は消えていった。ここでは自分たちの役目はないと判断したように。そして生きているレオニー達は何を選択して生きていくか。そんな対比関係が見える良いシーンだなと。

レオニーのおしゃれな服な着こなしはもちろんのこと。10代の女の子が何を見て、何を切り取って、何を求めているのか。おっさんになった今だからこそ、こういう映画で世の中を知る。とりあえず昔弾いてたギターを押入れから出してきて、コード弾きしてみたことは内緒です。17歳って本当あっという間だったな…。
さよなら、退屈なレオニー
(監督:セバスチャン・ピロット/2018年/96分/カナダ/La disparition des lucioles)

上映スケジュール
8.31(土)~9.6(金)
18:20~
9.7(土)~9.13(金)
17:20~

※連日日替わり上映。