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元町映画館☆特集

おだやかに、心を寄せて『人生をしまう時間』

人生の最期をどう終わらせるか。

人生の最期をどう終わらせるか。病院内、自宅、そのほか。今、話題の「在宅死」に迫ったドキュメンタリー『人生をしまう時間』。本作はNHK BS1スペシャル
「在宅死“死に際の医療”200日の記録」に新たなシーンを加え、再編集。<日本医学ジャーナリスト協会賞大賞>受賞。

あらすじ
都会の片隅で「在宅死」と向き合うベテラン医師。埼玉県新座市の「堀ノ内病院」。そこに勤める小堀鴎一郎医師。この方なんと森鴎外の孫で、元は東大病院の名外科医。そんな小堀さんが見つけた最後の現場は在宅の終末医療だった。現場だからこそ見えてくる声。そしてそこに暮らす人々の家族への想い。医療、人を通して見えてきたのは本当に「幸せな死に場所」とは何かだった…。

在宅医療という存在を知らなかった私。本作を観て、死に対する気持ちに変化が起こる。目の前にある死。家で治療、診ることによって、死が家族にとって身近にある。本作に出てくる家族は立場も違い、想いも違う。特に目の見えない娘さんと寝たきりの父親の家族。医師がくれば、父親は「庭の果物取って食べれば良いよ」など気さくに声をかけるがご飯を作ることや歩くこともままならない。一方で娘も父親のためにご飯を作ったりするが、誰かの助けがないとなかなか上手くいかない。そのような中で医師らの助言を受けてどういった最期を迎えるか。

もしこれが病院内であれば、毎日のルーティーンワークの中で、“管理”の目が行き届いているだろう。ご飯も薬も運動も定期的にとることができる。安心した死を迎えることができる。でも自宅ではどうだろうか。そんな考えを映画を観ながら思っていた。そんな不安や疑問を映画に出てくる医師は優しく語りかける。まるですべてを知っているかのように。医療の存在意義を再提案するかのように、現場では常に議論が交わされている。

医療が患者に対して意見を言うように、患者も患者同士、医者にも意見を伝える。病院にいればいわゆる団体の中の一つとして意見を拘束されそうなものだが、「在宅医療」は常に新しく、一緒に患者と最良の選択肢を探しているような印象を受けた。

家族や患者にとって何が最も良いのか、何を望むのか。それを汲み取って、行動する。当たり前のことが最も難しい。そんなことを教えられた映画『人生をしまう時間』。ぜひ大切な人とご覧ください。
人生をしまう時間
(監督:下村幸子/2019年/110分/日本)

上映スケジュール
11/9(土)~11/22(金)連日10:30より