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元町映画館☆特集

『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』公開

大きなスクリーンで観てほしい作品です!

2019年も様々なアニメーション映画を上映した当館。世界にはいろいろな映画があると感じる一方でまだまだアニメーションって面白くなる…と感じる1年でした。

そして当館で11/30より公開中の『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』。これが実に面白い。大きなスクリーンで観てほしい。ご紹介します。

こんなお話
舞台は19世紀のロシア。サンクトペテルブルクで暮らす14歳の貴族の子女サーシャ。彼女の大好きな祖父は1年前に北極航路の探検に出たきり行方不明となっていた。その件がきっかけで家族の名誉は失われていた。そしてサーシャは時が経ち、社交界デビューすることに。目的は皇帝の甥と近しくなること。それをチャンスと考えたサーシャは再び祖父の船を探してもらうように懇願するが、不興を買ってしまう。そして彼女は自らの手で祖父の船を見つけるべく一人で家を飛び出すが…。

フランス・デンマーク合作の本作。物語はシンプルだけれどもどこまでも伸びていく水平線。そして日常の暮らしの描写がとにかく素晴らしい。誰も助けてくれないから、カバンと少しのお金で外の世界へ飛び出していく、女性の社会進出も描いている点も共感できる。そして何よりもサーシャの存在感。貴族の娘だったために、家事もろくにできない。それをあることがきっかけで港町の食堂で働くことに。皿洗いや料理のシーンも丁寧で、たとえロシアの話でも誰でも経験があるシーンがあるとホッとする。安心して自分もサーシャと重ね合わせるように映画を観れる。

特に好きなシーンがある。苦難を超えてやっとの想いで船に乗り込んだサーシャ。船員の男たちは彼女のことを疎ましく思い、距離を取る。そんな中、一番の下っ端である青年がキッチンで食事に使う芋の皮むきをしている。それを見て手伝うサーシャ。そのシーンが何とも微笑ましい。包丁を使うシーンはこの映画でも見どころの一つではないだろうか。貴族の中で生きてきたサーシャが男性と膝をついて作業をする。アニメーションにしかできない、皮むきの店舗。剥く、水に浸す、剥く。単純作業の繰り返し、しかしずっと見ていられる。サーシャが船のクルーに一歩近づいた瞬間として見応え十分だ。

そして物語はいよいよ約束の地へ向かう。そこでどんな過酷な環境が待ち構えているか。仲間だった船員らも過酷な環境でサーシャに強く当たることも。アニメーションだけれども、人間の心情も深く描いている。その変化の表現から逃げていないのも本作の魅力の一つ。

12/7からは当館では日本語吹き替え版での上映となります。世界のアニメーションに日本語がどうマッチするのかも楽しんでいただきたいです。
ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん
(監督:レミ・シャイエ/2015年/フランス・デンマーク/81分/Tout en haut du monde)

12/7(土)~12/13(金)連日16:40から
※日本語吹き替え版での上映