地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、神戸市灘区の地域情報サイト「まいぷれ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

神戸市灘区の地域情報サイト「まいぷれ」

元町映画館☆特集

次世代の青春映画『左様なら』

高校生らの青春を、率直にまっすぐに、綺麗な映像で表現された作品

クラスメイトの突然の死から、同級生の「そこにあった空気」が黒くにじんでくる。高校生らの青春を描いた『左様なら』。ここまで率直にまっすぐに、綺麗な映像は今までなかったのではないでしょうか。

こんなお話
高校生の由紀は平穏な日々を過ごしていた。特に何もなく、授業中に外を眺めていても平和な街で。
ある日、中学生からの同級生、綾が亡くなってしまう。その日を境にクラスメイトとの関係が崩れていく。仲良しのグループはより仲良く、外の世界を遮断するように…。
ダメなんです。こういう青春映画。褒めてます。私、こんな綺麗な世界に生きてはいなかったですが…この映画は綺麗で、だからこそ人の「ウッと」なるどす黒いものがより黒に見える。主人公の由紀は若手女優の芋生悠(イモウハルカ)さん。クラスメイトと濃い関係になるよりも、一人でいることを好む。たまに学校近くのカフェで店長とお話しする。どこにでもいる女子高生。もちろんクラスメイトも女子だけの仲良しグループや、さらに「陽キャラ」と言われる人気者の男子のグループもいる。そんなグループに由紀はハブられる。直接的なことはなく、ただ何となく、でも着実にクラスの輪の中から外に追い出される。
この展開が本当に丁寧。観る側に届くように描かれている。しかも登場人物に起こる全てを描くのではなく、時に静かに、時に執拗なくらいに映像でみせてくる。
特に仲の良い女の子グループが互いに敬遠しあって、いないところで文句を言うシーンはあまり観ていて気持ちいいものではなかった。でもこれが現実に起こっているんだなと。そしてそのグループでも都合の良い友達として描かれた夏目志乃さん。リーダー格の女子らに媚を売るのではなく、言うことを聞く存在。それで自分の立場を確立する。でも最終的には…。コミュニティの確立。10代という本当にあっというまに過ぎていく時間の中で、今もこれからも10代は楽しさと一緒に考えて生活しなければならない。
10代をすでに終えた人、まだ10代の人。今もう一度振り返って10代を思い出して欲しい。
真っ白な気持ちで自分がどうであったか。それを思い出させてくれる大切な映画でした。
左様なら
(監督:ミッシェル・オスロ/2018年/94分/フランス・ドイツ・ベルギー合作/Dilili a Paris)

上映スケジュール
11/2(土)~11/8(金)連日18:30より
※11/2(土)上映後には芋生悠さんによる舞台挨拶