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元町映画館☆特集

タレンタイム 優しい歌

アジアの宝物、今は亡きヤスミン・アフマド監督の最高傑作

2020年もついに年が明けてはや3週間。
世間ではアカデミー賞など早くも今年のベスト映画が出た…など多くの声が聞こえてきます。さて元町映画館も1月から様々な映画を上映しています。そして、今年、8月に10周年を迎える元町映画館。そんなこんなで1月もあっと言う間に過ぎていきそうですが、絶対に見逃して欲しくない作品の登場です。

こんなお話
多民族国家マレーシアのある高校。そこでは音楽コンクール“タレンタイム ”が開催される。その学校に通うピアノの上手な女子学生ムルーは耳の聞こえないマヘシュと恋に落ちる…。しかしマヘシュの叔父に悲劇が起きる…。

青春映画は数多く世の中に存在しています。青春、一瞬しかない時間。本作でも日本の学生と同様に恋に家族に…と様々な背景を持つ学生が学校に集まってきます。マレーシアの青春映画…それだけでもまず興味が湧きませんか。


ここで監督の紹介。
ヤスミン・アフマド監督。2009年7月25日、51歳という若さでこの世を去る。2003年に映画監督デビュー後、精力的に作品を世に送りだした。本作が遺作となる。この監督、他の作品も名作揃い。本作でもその映像/演出方法はまさに最高傑作…と個人的にも思っております。劇的な変化が劇中で起こるのではなく、その地に暮らす人々をそのまま写し描き、観ている側も実際に自分がそこにいるような感覚にさせます。

本作の登場人物たちはどこにでもいる学生、登場人物らはみんあ誰かを大切にしている。想うだけで幸せになる人もいれば、想いが強いと人を不幸にさせることも。感情の持つ力や方向性は相手に向けているように見えて、実は自分に言い聞かせているようにも思える。そんな形を持たない「感情」を映像にはっきりと残したのが本作だ。それらの表現方法は観ていると勝手に涙が溢れてくる。

多民族国家マレーシアでは宗教や、貧困、学歴など様々な背景が入り乱れている。そんな中で感情が最も多感な学生たちが恩恵を受けることもあれば、被害を受けることもある。「初恋」と聞けば心がキュンとなるが、一方では親との関係に悩む学生もいる。誰もが人に優しく、そして優しくされたいだろう。本作はそれを見事にカメラに収めているのに、映像からは優しさが溢れている。もちろんすべてがうまく行かないのが人生だけれど、本作の登場人物にはみんな幸せになってもらいたいと願う自分がいた。とにかく優しくなる一本。そしてヤスミン・アフマド監督に伝えたい…「タレンタイム を作ってくれてありがとう」と。
タレンタイム~優しい歌
監督:ヤスミン・アフマド /2009年/マレーシア/115分)

上映スケジュール
1/25(土)-1/31(金)14:50~
2/1(土)-2/7(金)16:00~